上関原発の予定地すぐ・祝島 神舞(いわいしま かんまい)その3 〜 初めての炊き事(ご飯作る係)

寄席囃子(よせばやし)奏者、

恩田えりさんのブログからの転載で

「祝島 神舞(いわいしま かんまい)」(全10回)を毎月お届けします。

3回目は「その3 〜 初めての炊き事(ご飯作る係)」です。

(以下、転載)

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8月16日、神舞初日の朝がやってまいりました。

5時の目覚ましが鳴りまして。

もう少し。もう少し。あと10分。あと5分。

5時半の目覚ましが鳴りまして。

さすがにもう起きないと、と居間に降りると

他の皆さんは台所に立っており。

そして朝ご飯が着々と出来ており。

素晴らしい!そしてごめんなさい!

前日、島のお店『えびすや』さんで買った

オレンジをわけわけする係りだけやってお茶を濁しました。

「美味しいねえ」「豪華な朝ご飯だねえ」ワイワイ食べていたら

あっという間に集合時間の5分前。

「ヤベ!!!行こ行こ!!!」

前日支給された神舞Tシャツ(2枚も!太っ腹!)に着替えて

同じく朝担当のポレポレ中植さんと小走りで公民館一階の調理場へ。

「おはようございます!よろしくお願いします!」

「ああー!遠いところすみませんねえ!よろしくお願いしますねえ!」

入るとすでに幅広い年齢層のお姉さんたちが忙しく動いていました。

朝当番の役目は弁当150食と湯鯛。

中のおかずは、天ぷら+こんにゃく+石豆腐+昆布巻、の煮物に

磯辺揚げ、ウインナー、かまぼこ、卵焼き。

さて、何をどう手伝ったらよいのやら。。。

ボンヤリしている自分とは対照的にポレポレ中植さんは

みんなの中に入って仕事を見つけてはテキパキとこなしており。

すごいなあ。。。えらいなあ。。。眠いなあ。。。

と、ボンヤリしていると、四角いフライパンが目の前に。

「はい、卵焼き。焼いてください」

「はあ。。。」

何十年ぶりだろう、作るの。隣で焼いている人の手を見つつ。

「上手く焼けないなあ。。。」

「焼けてる焼けてる!はい、ここに置いて!次焼いて!」

「は、はい。。。上手く焼けないなあ。。。」

卵焼きが終わり、四角いフライパンを洗っていたら

「これもお願いします」「これも」「これも」

シンクにどんどん洗い物が積まれていきます。

あ。これイイな。よし、洗い物係になろう。

しばらくすると調理場に大きな鯛が現れました。

「立派ー!」「ホントー!」「わー!大きい!」

みんなの手が一瞬止まるほど、それはそれは立派な鯛です。

島の女漁師、民ちゃんが釣った、大きな鯛。

「こうかね」「そうね」「こんな感じかね」「そうね」

リーダーの文ちゃんとよっちゃんが相談しながら

鍋いっぱいに沸かしたお湯の中に、大きな鯛をザルごと落とします。

『湯鯛』と言って

大分県伊美からお迎えした神様に献上するのだそうです。

「もうええかね」「まだじゃろ」

ひっくり返したりはできないので、結構時間がかかります。

鯛を茹でている間に、鯛の周りに盛りつけるソーメンを茹でます。

「もうええかね」「ええじゃろ」「ああ、大丈夫大丈夫」

鍋から上げた鯛の周りに、茹でたソーメンをくるくるして波のように盛ります。

大旋回術のおかげあって、8時頃終了。

「お茶にしよう、お茶」

美味しいびわ茶をいただき、おにぎりをいただき

残ったおかずをいただき。美味しい。

ワイワイ談笑するパワフルな島の皆さんを眺めつつ

昼のシャギリ隊で弾くフレーズを鼻の中でブツブツ。

「じゃあ、次は3時かね」「そうね」

三々五々な感じになったので

「お疲れ様でしたー!後ほどよろしくお願いいたします!」

宿に戻り、曲をさらい、時計を見たら10時。

今日はきっと長丁場だ。昼寝しよう、昼寝。

午前中からの昼寝は

格別に気持ちがいいのでした。

(つづく)


脱原発の道 〜いのちをつなぐ、海をつなぐ〜

原発ゼロを続けたいと願う各地の動きやアクションの呼びかけを伝えます。新規立地計画をかかえる祝島沖・上関(山口)と大間(青森)、東電の福島第一原発事故のあと唯一稼働した大飯原発のある嶺南(福井)…3つの地で行動する人びとの直接発信と情報共有を目指すチームゼロネットの活動を応援し、マスコミが発信するニュースに留まらず、現地の状況にまつわる多様な声を発信します。