祝島 神舞(いわいしま かんまい)その7 〜 ポレポレコンビ

8月18日

前夜も大変夜深く。。。

今日は夕食担当のみだから15時までダラダラ過ごせる。

と、思いながら眠りに就いたんですが

早起きが癖になったのか、5時には目がバッチリ。

6時過ぎから神楽の朝礼があると伺っていたので

仮神殿に行ってみると

神職の皆さん、里楽師の皆さん

そして奉賛会幹部の方々とおぼしき島の方々が

正装を身にまとい神妙な面持ちで頭を垂れており。

「みんな何時に起きてんのかな…」

長の方のご挨拶が終わると、皆さん公民館の方へ歩いていかれました。

「みんな何時に寝てんのかな…」

「体力がないと出来ないお務めだな…」

様子を眺めながらいろいろ思います。

宿に戻って朝ごはん。

「昼便までどう過ごすんですか?」

「神楽観ようかと。岩戸開きは13時からだから観れないけど。

14時過ぎの臨時便があるといいんだけどなぁ。今日はなさそうって」

「そっか…それは残念ですね…」

ポレポレ小原さんは今回が祝島初上陸。

「神楽を観たかったから来たような感じなんで」

なるほど。ギリギリまで見ないと。

神楽が始まるのは8:30くらい。

「そろそろですかね。音が聴こえたら行きますか」

仮神殿に行くと人はまだまばら。

前の方で観ようとキョロキョロしていると

前夜知り合った里楽師の方のご家族が最前列に。

きっとあそこがベストポジションなんだ。

すぐ後ろを陣取ります。


ふと舞台を見ると、酒瓶と酒桶と山になった盃。

「ご自由にお飲みください、って書いてある」

「飲もう飲もう」コソコソ近寄り。

あ、これか。氏本さんのお酒って。

出来立ての若い味がするな。

半年くらい経つとどんな味になるのかな。

鳴り物の方を見ると

前日の昼も笛を吹いていた少年が座っており。

頑張れ少年。


神楽が終わるたび頭にはハテナがたくさん。

隣には小原さん。

「あれは…」

「あれは多分、こうこうこうで…」

「ほう…なるほど…」

今ではどんなハテナにどんな解答だったか

全く覚えておりませんが。

「午前の部はこれで終了です。

午後の部は13時より岩戸開きを行います」

アナウンスを聞きつつ

仮神殿隣りの倉庫へぞろぞろ。

カレーやらパンやら氷やら

写真集やら木彫り食器やら何やらのお店が

めいめいに広がっており。

目移りしながら結局匂いに勝てず

カレーをチョイス。美味しい。

倉庫隣りのテント下でカレーを食べてたら

いつの間にか小原さんも中植さんも

姿を消しており。

周りの人に聞くと

「もう船着場に向かったんじゃない?」

急いで船着場に向かおうとしたら

荷物をゴロゴロしているポレポレコンビを発見。

「臨時便出ないんで昼便で帰りまーす!」

「ああ!残念ですね!また東京でー!」

「はいー!また東京でー!」

見送ると泣いてしまうのがわかっていたので

きびすを返して仮神殿の方へ戻ろうとしたんですが。

三日寝食を共にしただけで

どうしてこんなに気持ちが移るんでしょう。

今一度きびすを返して、急いで堤防へ向かいます。

ちょうど船が港を出て沖に出るところでした。

小さくても誰がポレポレコンビかは

『鬼の棒』が目印で、すぐにわかりました。

次の炊き事からは中植さんはいないんだ。

次の岩戸開きからは小原さんはいないんだ。

手を振れば振るほど淋しくなってきて

いつしか船も鬼の棒も霞んでいました。

(つづく)

脱原発の道 〜いのちをつなぐ、海をつなぐ〜

原発ゼロを続けたいと願う各地の動きやアクションの呼びかけを伝えます。新規立地計画をかかえる祝島沖・上関(山口)と大間(青森)、東電の福島第一原発事故のあと唯一稼働した大飯原発のある嶺南(福井)…3つの地で行動する人びとの直接発信と情報共有を目指すチームゼロネットの活動を応援し、マスコミが発信するニュースに留まらず、現地の状況にまつわる多様な声を発信します。